ThinkPad 560X での
親指(NICOLA)化実践例

～OAK V6 「親指生成」Keyboard Driver 活用～

最終更新： 2000年1月25日

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※恐縮ですが、キーレイアウト表示にスタイルシートを使用している都合上、このページでは Internet Explorer 3.0x をサポート外とさせていただきます。IE 3.0x ご使用の方、その他以下が正常に表示できない方は、別ページをご覧下さい。m(_ _)m

富士通は、「OAK V6」という日本語IME(*注)を発売しています。(OAK V6は同社のWindows用ワープロソフト「OASYS V6」にも添付されているほか、単品でも発売されています。) このOAK V6に添付されているキーボード・ドライバーを使うことによって、PC/AT互換機用の日本語JISキーボードを親指シフトキーボードとして使えるようになります。以下ではその使いこなしのノウハウを提供します。なお、下記の「警告」を必ず読んで下さい。(*注：「日本語IME」という用語の意味が分からない人は、ここをクリックして説明を参照して下さい。)

ThinkPad 560X での親指(NICOLA)化実践例
- 警告
- 実験材料
- 作業手順
  - STEP 1. OAK V6 のインストールと環境設定
  - STEP 2. Keylay 98(95) などのツールを使って、"Bs", "Esc"などのキーの配置を変更する
- レイアウトその１～私が「試用」してみたレイアウト～(日本語 IME にOAK V6 を使用)
- レイアウトその２～ここまで OASYS 風にできる！～(さらにOASYS風に変更： 22/June/1999)
- レイアウトその１における文字配置詳細
  - IME ON, かな (日本語IMEは OAK V6)
    - 単独打鍵
    - 単色同時打鍵(＝同じ側の親指との同時打鍵)
    - 二色同時打鍵(＝逆側の親指とのクロスシフト) (訂正： 15/June/1999)
    - かな＋英数shift
  - IME OFF, 英数
    - 単独打鍵
    - 英数shift
- 参考：富士通のキーボードドライバーを用い、日本語 IME にATOK11 Ver.1.1 /R2 を使った場合
  - かな単独打鍵
  - 単色同時打鍵
  - 二色同時打鍵 (訂正： 15/June/1999)
- ファーストインプレッション
  - ○長所：
  - ×短所： (情報追加： 15/June/1999)
- 最後に

OAK V6 + 富士通ドライバー + Keylay による ThinkPad「親指化」実験を行ってみました。この場で報告させていただきます。

※警告※　以下に紹介するレポートでは、富士通提供のキーボードドライバー(OAK V.6 に添付されたもの)を、メーカー保証外の方法で使用しています。「試してみる」ときは、使用者自身の責任で行って下さい。トラブルが発生しても、私自身はいかなる保証もできません。無保証の方法は試すわけにはゆかないという方は、シェアウェアのQ's Nicolatterを試用してみられるとよいと思います。あるいは、いっそのこと富士通製のノートPC(親指シフトキーボード付き)を購入すべきです。なお、このページで紹介する方法は、パソコン初心者にはお勧めできません。というのも、親指ドライバーを「アンインストール」する方法が少々面倒だからです。下記の方法を試行する際には、別文書、「忠告：OAK V6 『親指ドライバー』試用者へ」も必ず合わせて参照して、このドライバーのアンインストール方法について事前に確認しておくこと。

上述の通り、以下の方法を試してみられる際は、あくまでもユーザーの「自己責任」にて試す、ということになります。けれども、まっとうな作りをしているPC/AT互換機ノートPC(OADG機など)であれば、おそらくさしたるトラブルに遭うこともなく親指シフト化させることができると思います。また、PC/AT互換機デスクトップについても、まともな作りのマシン(OADG機など)であれば、その日本語106/109キーボードをこの方法で親指シフト化することができます。以下を読んで興味を持たれた方は、別ページの「NICOLAエミュレーターの実力のほどは」という記事も参照して下さい。

実験材料

ハードウェア ThinkPad 560X
OAK V6 (単品)
Keylay (GUI を使ったキー配列変更ツール)
OS: Windows 95 (Ver. 4.00.950B) IE 4.01 SP1 インストール済み。(Active Desktop on. ただし、アクティブチャンネルは殺している。)

※なお、この「実験」では、親指ひゅんＱや Q's Nicolatter は使用しません。親指ひゅんＱやQ's Nicolatterを使ってDOS/V機を「親指化」する手法については別ページを参照してください。
※ハードウェアとしては、ThinkPad 560X を用いましたが、まっとうな作りをしている DOS/V ノートPC(OADG機など)なら、どのようなマシンでも「実験」可能だと思います。また、デスクトップPCでもまっとうなDOS/V機(OADG機など)なら「実験」できるでしょう。

作業手順

STEP 1. OAK V6 のインストールと環境設定

注意点(1): インストール時に、「キーボードタイプ」として[OASYSキーボード(実行付)]を選ぶこと。
注意点(2): インストール「後」に、[コントロールパネル]の[キーボード]のプロパティで、専用のキーボードドライバーを組み込むこと。この組み込み方については、OAKV6 をインストールしたフォルダ内にある"HELP"サブフォルダの中に(*注)、説明書"README.TXT"があるので、この説明[＝OASYS キーボード(実行付き)を使用する場合の注意事項]を参照のこと。この説明書に作業手順が詳しく書かれている。Windows 95とWindows 98とでキーボードドライバーのインストール方法が異なるのだが、その点についても詳細な説明がなされているので、必ず"README.TXT"を参照すること。
※私の場合、「試用」してみたのは、[FUJITSU OASYS キーボード親指シフト(BIBLO DC 13NA3/NU3 以後)]という名前のドライバーである。
(*注：例えばOAK V6のインストール先が C:\OAKV6 だとすると、C:\OAKV6\HELP というフォルダの中に、"README.TXT"という説明書が保管されている。)

STEP 2. Keylay 98(95) などのツールを使って、"Bs", "Esc"などのキーの配置を変更する

STEP 1 だけでも、すでに親指シフトは何とか使えるようにはなっている。しかし、どうせならオアシス専用機のように「セミコロン"；"右隣バックスペース」を使えるようにしよう。そのためには、キー配列変更ツールの助けを借りる必要がある。

さてここで、キー配列について、次の二つをハッキリ区別させておこう：

配列1. IME OFF 時の英数文字記号、および各種機能キー(*)配列
配列2. IME ON 時の英数文字、およびかな文字記号配列

*各種機能キー：[Esc], [Bs], [漢字], [Ctrl]などのキー

これらのうち、配列１を変更するために、キー配列変更ツールを使うのだ。OAK V6 と富士通キーボードドライバーだけでは、一般の日本語キーボードの[Bs], [Esc]キーを「引っ越し」させることはできない。何らかのキーレイアウト変更ツールを併用する必要がある。

私のお薦めはシェアウエアの Keylay (Keylay98)である。Keylayでは、GUIを使ってマウスクリック一発でキー配列のカスタマイズができるようになっている。初心者でも十分に使えると思う。

なお、フリーウェアを使って、上記の配列1を変更することもできる。ただし、Keylay を使う場合と比べると設定法が少し難しくなるのはやむを得ないところだ。こちらについては、別ページで解説したので、そちらを合わせて読んでいただきたい。

キー配列変更にあたっては、[Bs], [Esc]などのキーを引っ越しさせるわけだが、これらの移動に伴い、他のキーも引っ越しさせる必要がある。以下に二つばかりキー配列の実例を図示してみた。実際にどのような配列でどれだけの文字が打てるのか、参考にして欲しい。

レイアウトその１～私が「試用」してみたレイアウト～
(日本語 IME に、OAK V6 を使用した場合。更新： 22 June, 1999)

以下のキー配置図の表示にスタイルシートを使用しています。以下が正常に表示できない場合は、スタイルシートを使っていない別ページをご覧下さい。 m(_ _)m
キー配列変更ツールとして、Keylay98 を使う場合には、画面でキー配列を確認しながらマウスクリックで配列変更ができますので、以下の「レイアウト1」を試してみられるときは、次の配置図を印刷して、Keylay98 の画面と照合しながら配列を変更をするとよいでしょう。Keylay を使うと、想像以上に簡単に配列を変更することができます。




 +----+
 |半角|
 |全角|★
 +----+
 +-------------------------------------------------------------------------+
 |Esc |! ？|" ／|# ～|$ 「|% 」|& ［|' ］|( （|) ）|■『|= 』|~ ￡|| ￢|`■|
 | ★ |1 １|2 ２|3 ３|4 ４|5 ５|6 ６|7 ７|8 ８|9 ９|0 ０|- －|^ 々|\ ￥|@■|
 +-------------------------------------------------------------------------+
 | Tab |Q ぁ|W え|E り|R ゃ|T れ|Y よ|U に|I る|O ま|P ぇ|* ￠|{ ゜|       |
 |     |q 。|w か|e た|r こ|t さ|y ら|u ち|i く|o つ|p ，|: 、|[ ゛| Enter |
 +-----------------------------------------------------------------+       |
 | Ctrl |A を|S あ|D な|F ゅ|G も|H み|J お|K の|L ょ|+ っ| Bs |} ■|      |
 |  ★  |a う|s し|d て|f け|g せ|h は|j と|k き|l い|; ん| ★ |] ■|      |
 +-------------------------------------------------------------------------+
 | Shift |Z ぅ|X ー|C ろ|V や|B ぃ|N ぬ|M ゆ|< む|> わ|? ぉ|\ ￤|   Shift  |
 |       |z ．|x ひ|c す|v ふ|b へ|n め|m そ|, ね|. ほ|/ ・|_ ■|          |
 +-------------------------------------------------------------------------+
 | Fn | Caps|左Alt|無変換 |   Space   |変換   |漢字 |かな |           | 実 |
 |    | ★★|     |親指左 |   空白    |親指右 |★★ |★★ |           | 行 |
 +--------------------------------------------------------+           +----+

各キーに割り当てられている文字記号の見方

+-------+-------+
|英数   |かな 単|      ※かな単色同時→ここをクリックすると説明を参照できます。
|Shift側|色同時 |
+-------+-------+      ※なお上図では、半濁音をはじめとする「かな二色同時打鍵」
|英数   |かな 単|        の配置を作図の都合上省略しています。二色同時打鍵時の
|非Shift|独打鍵 |        文字配置については、こちらをクリックして下さい。
+-------+-------+

※注：

■印の箇所は、文字が出力されない(ようである)ことを示す。
★印のキーは、Keylay によって配置変更をしたキーを示す： [Esc]キーと[半角／全角]キーとを交換。[英数]と[左Ctrl]とを交換。
また星二つ(★★印)のキーは Keylay によって特殊キー(＝Keylayの[Special]キー)割り当てを行っている。上の2で移動したあとの[英数]に対してKeylayによって[Caps★★]を割り当てた。
ただし、作図の都合上、一部キーについては★印が付けられなかったところがある。それが"Bs"キーの引っ越しに伴う、"Bs", ":", "@"の3つのキーのローテーション入れ替えである：
(i) ":"を"p"の右隣へ移動。
(ii) "@"を"\"の右隣へ移動。
(iii) "Bs"を";"の右隣へ移動。
富士通のドライバーを使うと、[右Ctrl]は[実行]キーとなる。これは事実上、[Enter]キーと同様の働きを果たしていると思われる(*)。 (*注：実はテンキーの[Enter]のコードを出力するらしい。)
英数モードにおいて(日本語IME on/off いずれとも)、[親指右]キーは、[空白]キーとして動作する。
上図を見れば分かるとおり、OAK V.6 との組み合わせにおいては IME ON 時に文字キーを打鍵するだけで(＝[変換]キーを打鍵する必要なく)、、～、『、』、々、￡、￠等の文字・記号を出力させることが出来る。
[かな★★]キーの打鍵によって「かなロック」の on/off 切り替えを行うことが出来る。すなわち、[かな★★]キーを打鍵するたびごとに、「かな入力モード」と「英字入力」モードとの往復切り替えが出来る。このキー操作による「かなロック」の on/off 切り替えは、日本語IME on/off いずれの場合でも有効である。

レイアウトその２～ここまで OASYS 風にできる！～
日本語IMEに OAK V6 を使用した場合。最終更新： 22/June/1999

以下のキー配置図の表示にスタイルシートを使用しています。以下が正常に表示できない場合は、スタイルシートを使っていない別ページをご覧下さい。m(_ _)m
Keylay98 (などのキー配列変更ツール)によるキー割付を変更すれば、「OASYS風」に[Esc]キーを[Enter]キーの左隣に配置したり、[Tab]キーを[親指左]の隣に配置したりすることもできます。
キー配列変更ツールとして、Keylay98 を使う場合には、画面でキー配列を確認しながらマウスクリックで配列変更ができますので、以下の「レイアウト2」を試してみられるときは、次の配置図を印刷して、Keylay98 の画面と照合しながら配列を変更をするとよいでしょう。Keylay を使うと、想像以上に簡単に配列を変更することができます。




 +----+
 |半角|
 |全角|★
 +----+
 +-------------------------------------------------------------------------+
 |` ■|! ？|" ／|# ～|$ 「|% 」|& ［|' ］|( （|) ）|■『|= 』|~ ￡|| ￢|}■|
 |@ ■|1 １|2 ２|3 ３|4 ４|5 ５|6 ６|7 ７|8 ８|9 ９|0 ０|- －|^ 々|\ ￥|]■|
 +-------------------------------------------------------------------------+
 |かな |Q ぁ|W え|E り|R ゃ|T れ|Y よ|U に|I る|O ま|P ぇ|* ￠|{ ゜|       |
 |★★ |q 。|w か|e た|r こ|t さ|y ら|u ち|i く|o つ|p ，|: 、|[ ゛| Enter |
 +-----------------------------------------------------------------+       |
 | Caps |A を|S あ|D な|F ゅ|G も|H み|J お|K の|L ょ|+ っ| Bs |Esc |      |
 | ★★ |a う|s し|d て|f け|g せ|h は|j と|k き|l い|; ん| ★ | ★ |      |
 +-------------------------------------------------------------------------+
 | Shift |Z ぅ|X ー|C ろ|V や|B ぃ|N ぬ|M ゆ|< む|> わ|? ぉ|\ ￤|   Shift  |
 |       |z ．|x ひ|c す|v ふ|b へ|n め|m そ|, ね|. ほ|/ ・|_ ■|          |
 +-------------------------------------------------------------------------+
 | Fn | 左  |左Alt|  Tab  | 無変換    |変換   |空白 |漢字 |           | 実 |
 |    | Ctrl|     |　★ 　| 親指左★  |親指右 | ★  |★★ |           | 行 |
 +--------------------------------------------------------+           +----+

このレイアウト2では、[親指左]を[Space]が元あった位置に配置してみた。こちらの方が左親指は押しやすいかもしれない。(ただし、ThinkPad 560Xではスペース・バーのキータッチは少々無骨だが……。)
レイアウト1と同様に、■印の箇所は、文字が出力されない(ようである)ことを示す。
また同じく、★印のキーは、Keylay98 によって配置変更をしたところである。なお、[漢字]キーなど星二つ(★★印)のキーは、Keylay98の機能によって特殊キー(＝Keylayの[Special]キー)を割り当てたものである。
ただし、Keylayを使って配置変更したキーの中に、作図の都合上★印をつけられなかったところが3カ所ある。すなわち：
(1) ":"を"p"の右隣に移動。
(2) "@"を"1"の左隣に移動。
(3) "]"を"\"の右隣に移動。
なお、富士通のキーボード・ドライバー使用時には、英数モードにおいて(日本語IME on/off いずれとも)、[親指右]キーは、[空白]キーとして動作する。この点も、レイアウト1と同様である。
パソコン初心者のために、このレイアウトでの文字入力モードの変更方法について、次に一部説明しておく：
1. 日本語IMEの on/off 切り替えは[漢字★★]キーの打鍵によって行える。
2. [かな★★]キーの打鍵によって「かなロック」の on/off 切り替えを行うことが出来る。すなわち、[かな★★]キーを打鍵するたびごとに、「かな入力モード」と「英字入力」モードとの往復切り替えが出来る。このキー操作による「かなロック」の on/off 切り替えは、日本語IME on/off いずれの場合でも有効である。
3. 日本語IME off ないしは日本語IME onで英字入力を行っているときに、Caps Lock の on/off を切り替えるには、[Caps★★]を打鍵すればよい。
4. なお、日本語IME on で英字モードの状態から、（日本語IME on）かなモードに移るには、上記の［かな★★］キーを打鍵する方法のほかに、[無変換・親指左]キーを打鍵するという方法もある。

レイアウトその１における文字配置詳細

IME ON, かな (日本語IMEは OAK V6)

単独打鍵

１２３４５６７８９０－々￥■
。かたこさらちくつ，、゛
うしてけせはときいんBS■
．ひすふへめそねほ・■

単色同時打鍵(＝同じ側の親指との同時打鍵)

？／～「」［］（）『』￡￢■
ぁえりゃれよにるまぇ￠゜
をあなゅもみおのょっBS■
ぅーろやぃぬゆむわぉ￤

二色同時打鍵(＝逆側の親指とのクロスシフト)

？／～「」［］（）『』￡￢■
。がだござぱぢぐづぴ、゛
う゛じでげぜばどぎぽんBS■
．びずぶべぷぞぺぼ・■

かな＋英数shift

１２３４５６７８９０－々￥■
。画たこさらち区つ，、゛
うして部せぱと記いんBS■
．ぴすぷぺめそねぽ・■

※注：※"画","区","部","記"とあるのは、
　OAK V.6 の「制御記号」の一種で、
　特殊コマンド埋め込み用のキーである。
　これらの文字を出力するわけではない。

IME OFF, 英数

単独打鍵

1234567890-^\@
qwertyuiop:[
asdfghjkl;BS]
zxcvbnm,./\

英数shift

!"#$%&'()■=~|`
QWERTYUIOP*{
ASDFGHJKL+BS}
ZXCVBNM<>?_

参考：富士通のキーボードドライバーを用い、
日本語 IME にATOK11 Ver.1.1 /R2 を使った場合

かな単独打鍵

１２３４５６７８９０－■￥■
。かたこさらちくつ，、゛
うしてけせはときいんBS■
．ひすふへめそねほ・■

単色同時打鍵

？／■「」［］（）■■■■■
ぁえりゃれよにるまぇ゛゜
をあなゅもみおのょっBS■
ぅーろやぃぬゆむわぉ■

二色同時打鍵

？／■「」［］（）■■■■■
。がだござぱぢぐづぴ、゛
う゛じでげぜばどぎぽんBS■
．びずぶべぷぞぺぼ・■

※残念ながら、ATOK11との組み合わせでは、"『", "』"や、"～"などの記号を出力できない。

※なお"～"については、富士通ドライバーを使わず、「親指ひゅんＱ」や「Q's Nicolatter」で親指化した場合には、ATOK11(Ver.1.1 /R2), ATOK12とのコンビでこの記号を出力させることができる。

※上に見るように、「富士通ドライバー＋ATOK11」のコンビでは出力されない文字がかなりある。しかし、最上段の記号類についても、文字化け(モードずれ異常)なく使えるようである。MS-WORD 98 でも O.K. のようだ。この点は、WORD 97/98対応に若干の問題を残している「親指ひゅんＱ」と比べればアドヴァンテージである。なお、Q's Nicolatterは早くから WORD 97/98に対応済みである。

ファーストインプレッション

「試用感」については、ファーストインプレッション(OAK V6 と使った場合)を述べておきましょう。

○長所：

同時打鍵判定はバッチリ。タイピングは、かなり快適です。とくに、[変換]・[無変換]キーの「単独打鍵検出」の具合が、親指ひゅんＱや Q's Nicolatter と比較して若干異なっているように思われます。　どうやら、富士通ドライバーを使う方が、これら二つのキーの「単独打鍵」のレスポンスがやや遅いのです。これは、これらのキーの「単独打鍵」が「同時打鍵」と誤判定されるのを防ぐための対策だと思われます。
- 　この点は、[親指]キーと[変換]・[無変換]キーを「共用」するタイプの親指シフトキーボードでは、いわば「鬼門」ともいえることなので、やはり富士通ならではのチューニングが施されているものと想像します。
- ひょっとすると、[変換]・[無変換]キーがリリースされるまで、単独打鍵検出のタイミングを遅らせているのかもしれません。
- (98/10/28 追記)　[変換]・[無変換]キー「独立」タイプの親指シフトキーボードに慣れた私にとっては、[変換]・[無変換]キー「共用」タイプの親指シフトキーボードは使いづらい面があります。濁音や半濁音を「クロスシフト」(=逆の手の親指との同時打鍵)で入力する際に、親指キーが「単独打鍵」と判定されてしまうことがあるのです。これは、NICOLAエミュレーターとして富士通ドライバーを使う際にも、親指ひゅんＱやQ's Nicolatterを使う際にも生じる問題です。
  　この場合には、濁音／半濁音を入力するつもりなのに、「変換」／「無変換」操作が行われてしまうという事態になってしまいます。私の場合、この不具合は「独立」タイプの親指シフトキーボード(即ち、Rboard Proやオアシス専用機)では見られませんでした。私が推測するに、「共用」タイプではタイプする際に一層厳格に「一定のリズム」で打鍵することを求められるようなのです。しかし、「共用」タイプのキーボードでも、名人の手にかかると「独立」タイプ並の打鍵速度が得られるようですから、やはり慣れの問題が大きいのでしょう。

×短所：

Keylay と併用しても、動作はかなり安定している……と、使いはじめは思ったのですが、WZ Editor 3.00D, MS-WORD 98 で数回ほどアプリケーション・エラーが出ました。エラーメッセージを見ると、OAK V.6が原因の一部であるようです。エラーが出るタイミングとしては、入力した文字列を変換した直後(確定前)に、急速なキー操作を行ったときにエラーが発生するようです。(以上のエラー報告は 98/10/02 のもの)
このトラブルの原因が、どこにあるのかまだ分かりません。やはり、富士通のドライバーを富士通以外のキーボードで使うことに無理があるのかもしれません。
- (98/10/09 追記)　上述のように、この入力環境を導入して2・3日後に、WZ Editor と MS-WORD 98 を使用中に数回アプリケーション・エラーが出ました。それから、約１週間経過しました。この間ほぼ毎日2～3時間程度はこの環境で文書作成作業を行っているのですが、どういうわけかエラーが出なくなりました(?_?)。なお、この間に Keylay をバージョンアップしましたが、上記エラー発生との因果関係の有無は確認できません。(-_-)
- (98/10/28 追記)　上の問題の原因がOAK V6、富士通ドライバーのいずれにあるのか確認するために、富士通ドライバーを ATOK 11 との組み合わせでしばらく使ってみることにしました。現在この組み合わせで「試用中」です。
- (98/12/1 追記)　その後一ヶ月あまり、富士通ドライバーを ATOK 11 との組み合わせで試用してみましたが、上に書いたようなアプリケーション・エラーは全く出ませんでした。また、富士通ドライバー試用時に、いわゆる「モードずれ」の発生は一度も経験していません。これはおそらく、「英数(QWERTY)配列」と「NICOLAかな配列」の切り替えをキーボード・ドライバーをはじめとするデバイス・ドライバーで行っているために、日本語IMEの「かな／英数」モード切替との「モード同期」がスムーズに行えるためであると推測しています。
私は、かつてOAK V.4.1を使っていたとき、OAKがバージョンアップ直後に結構トラブルを頻発するという経験をしたことがあります。ひょっとすると今回も、OAK V.6の修正パッチが近い将来に発表されて、問題が解決しないかな、などと甘いことを考えています。ともかく、OAK V.6 のパッチが公開されたら、またレポートします。
しかし、ここで紹介した方法はそもそも「メーカー保証外」のやり方ですから、動作の「保証」やサポートを求める場合は、Q's Nicolatter(シェアウェア)を選択すべきでしょう。また、上述のキー出力例を見れば分かるとおり、富士通のドライバーを用いる場合には OAK V.6 を使ってこそメリットがあるわけですので、ATOK11など他のIMEを使いたい場合には、富士通製ドライバーを無理して保証外の使い方で用いる必要はないと思います。
- この「メーカー保証外」の方法の問題点について、その後明らかになったことがあります。別文書「忠告：OAK V6 『親指ドライバー』試用者へ」を必ず参照のこと。(この項、15 June, 1999 に追加。)
なお、この環境では、DOS窓(DOS-BOX)で親指シフトによる日本語入力が出来ません。この問題は、富士通製ドライバーを使わずにQ's Nicolatterを使ってJISキーボードを親指シフト化した際にも発生します。それゆえ、これはNICOLAエミュレーターを使って「親指化」する場合の基本的な制限であると思われます。たとえ富士通製の親指シフトモデル・ノートPC(FMV-BIBLO)を購入しても、この制限は変わらないはずです。ということは、現状では、Windowsノートマシンを使う場合に、DOS窓で親指シフト入力を実現する方法はないのかもしれません。なお、NT4.0を使った場合については、まだ情報を収集していません。
- 他方、デスクトップマシンを使う場合は、キーボードとして富士通製の FMV-KB211、もしくはリュウド製のRboard Pro for PCを使うことによって、DOS窓でも親指シフトによる日本語入力を行うことが出来ます。ただし、FMV-KB211 は生産を終了しているようです。ともかく、ノートPCでもこれら2種のキーボードを外付けキーボードとして使えば、DOS窓でも日本語入力ができるケースがあるはずです。

最後に

それにしても……最近の BIBLO DC (親指シフトモデル)は、「ソフトウェア方式」によって、親指シフトを実現していたんですね。実際に自分のマシンで確認してみると、やはり驚きを感じざるを得ませんでした。

これを「ソフトウェア方式」と呼ぶことに誤りはないですよね？　キーボードドライバーに同時打鍵判定アルゴリズム(＋スキャンコード変換)を組み込んでいるのでしょうか？　もしそうだとすると、「キーボードドライバー方式」とか「デバイスドライバー方式」と呼ぶべきかもしれません。

従来の「ハードウェア方式」では、キーボード・ハードウェア側で「QWERTY英数配列」と「NICOLAかな配列」という二つの「スキャンコード配列」を見かけ上もっていました。そのために、以下の三つの「モード」を一致させる必要がありました：

キーボード内部のスキャンコード配列モード(QWERTY-JIS / NICOLA)
キーボード・ドライバーのモード(英数 / かな)
日本語IMEの入力モード(英数 / かな)

他方、「デバイスドライバー方式」ではNICOLAエミュレーションをキーボードドライバーの制御下に置いているものと推測されます。この方式の採用によって、1のモード「二重性」が消滅したため、2と3のモードを一致させるだけで「モード同期」を取ることができるようになりました。このおかげで、「ハードウェアの呪縛」から解放されました。この新方式採用を富士通は黙って行いましたが、Windows95/98環境下においては事実上ほとんどすべての「日本語106/109キーボード」がこの方式によってNICOLA化できるでしょう。NICOLAの普及へ向けて新たな地平がひらかれたようにも感じます。

以上、報告でした。

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